たちの関係って、十字架に似てる」


の台詞に、俺は眉を潜めることしか出来なかった。


「・・・何処が?」


真意を読み取れず困惑の表情で尋ねると、悲しみを帯びた瞳がこちらを見上げる。


「一度しか、交わることがない処」


明日には敵同士だし、と腕の中で小さく笑って。
そのくせ自分で口にした台詞を否定するかのように、俺の胸に顔を埋めた。


「・・俺は学ねェからわかんねェけどよ」

「・・うん?」


相変わらず俺の胸に顔を埋めたままのの顎を掬って、無理やり視線を絡ませた。


「また交わるまで、曲がりゃ良いんじゃねェ?」


俺は真っ直ぐになんて、生きられねェからな。
そう苦笑すると、は何か言いたそうな視線を向けたが、やはり無言で俺の胸に顔を埋めた。

胸に、暖かい水滴が滴ったのを感じた。

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