君 Only
もっともっと、に焦ってください。ばかり追いかけるのはズルイから
ふわふわ。ふわふわ。
漂うそれは、には大事な道しるべ。
「此処にいたんですね」
「か」
此方も振り向かずに名を呼ぶ彼に、笑みが零れた。
紫煙を纏う背中に歩み寄ると、土方さんは左手で青々とした芝生を叩く。
隣に座れ、そういうことだろう。
決して多弁な方ではない人だけれど、真選組の女中としてではなく一人の女として彼を見るようになってから、彼のことも大方わかってきた。
その証拠に、土方さんがよく行くこの場所は、しか知らない。
「探しましたよ」
「何かあったのか?」
「沖田くんが仕事サボってますけど」
「そりゃあいつもだろ」
あぁ、やっぱりそう返されるか。
呆れたように煙と言葉を吐く土方さんの隣にゆったりと腰を下ろして、次なる話題を何にするか思案を巡らせる。
本当は、用なんて何もない。
ただ土方さんが非番で、も非番で、気付いたら土方さんの姿が見当たらなくて。
だから、姿を見たかったから探しに来ました。
なんて言えるのなら、苦労はしない。
「・・煙」
「はい?」
「嫌じゃねぇのか?煙草の煙とか」
突然の、しかも土方さんから振ってきた話に内心動転した。
煙。確かに、好きじゃないけど。
「モノによりますけど」
「はァ?」
「土方さんのは、嫌いじゃないです」
「!」
言ってから、少し後悔。
ちょっと、わかりやすすぎたかな?
でも、銘柄とか言う意味で誤魔化すのもアリだし。
一向に反応を返さない土方さんにビクビクしながら右隣を見上げる。
「・・土方さん?」
「ばッ、見んな!」
「どうしたんですか?暑い?」
ふふ、と笑って誤魔化しておいた。
まるで茹蛸な土方さんの顔を目の当たりにして、少しは脈アリかな?なんて自惚れたのは秘密。
あとがき
一応片思い土方さん夢。まぁお互い片思い、でも土方さん側はまだ曖昧って感じなのですけれど。
照れる土方さんが書きたかったので出来ました(笑)
ヒロインさんは小悪魔的女の子。ちょっと計算しちゃってます。
まぁこのくらいならアリかな、と思って。押して押して引くのです(何)