「」 「はい?」 そっと近づくと、骸さんはソファに座ったままの身体を抱きしめた。 腰に回った腕は力強いのに、何故か消え入りそうに見える。 不安に思って、また小さく呼んだ。 それに返事は無く、その代わりに腰に回った腕は一層強く巻きついた。 何かあったのだろうか、お腹辺りに寄せた骸さんの顔を見下げて、は思案を巡らせる。 「・・僕以外の人間を愛することは許しませんよ?」 ぞくりと背筋が凍るような声色。それは骸さんの気分が悪いことを表している。 当然のように震える肩を押さえ込まれ、視界が天井と骸さんだけになる。 再度名前を呼ぶと、いつもの笑みが返ってきた。 「君は僕だけ見ていれば良いんです」 「骸さん?」 「彼には、渡しません」 耳にキスをするように、耳元で小さく囁かれる。 さっきとは一転して悲しげな響きを持つそれに気を取られた隙に、唇を掠める熱。 「ずっと、一緒です。例え、死んでしまっても・・」 「むく、」 言葉が途切れたと思った瞬間、先程掠めた熱がまた戻ってくる。 引いては押し寄せるその熱に翻弄されながら、骸さんの言葉を反芻する。 「ずっと・・?」 「そう、ずっと」 欲しかった言葉、彼が言ってくれなかったその言葉をいとも簡単に紡ぐ骸さんに縋りついた。 まるで魔法をかけられたみたいに、は骸さんに溺れていく。 それが至極、当然であるかのように。 |
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