しくじった、そう思ったときにはもう遅かった。
たった一人の少年に、動きを封じられるなんて。
は眼前の少年を睨みつけた。
まるで太陽のような、キラキラした少年を。



「アンタ、何なの」

「ラビ」


へら、人懐っこい笑顔を向ける少年。
がいくら睨んでも、彼から向けられるのは笑顔のみ。


「よろしくな、

「悪いけど遠慮するわ、エクソシスト。離してくれる?」


掴まれた腕を示すと、少年はまだ笑顔のまま、いや、と言った。


「何か用なの?」

が好きなんさ」


へら。
何でもないように、極普通に紡がれたその言葉に、は一層眉根を寄せる。


「それは、どうも」

は?俺のこと、好き?」

「な訳ないでしょ、エクソシストくん」


ラビだってば、と少し口を尖らせる少年を見遣り、はため息を吐いた。
この状況では、暫く離してくれそうにない。
不機嫌な顔をしてそっぽを向くと、少年は嬉しそうに此方を見、抱きついてきた。


「嫌がらないんさ?」

「嫌よ。すっごくい・や!」

「じゃ、何で抵抗しないんさ?」

「それは、」


そう言い掛けた時、何かがと彼の間に無理矢理入り込んできた。


「人の物に手出すなって習わなかったか?少年」

「ティキ・・」

「何、オニーサン。の仲間?」

「恋人だ」


何だか機嫌の悪いティキと未だ笑顔のままの少年を見遣り、はティキの腕を強引に引っ張った。


「ありがと、ティキ。行こ」

「あっ、待つさー!」

「ずいぶん気に入られてんな、?」

「関係ないわ」


ふん、鼻を鳴らして、背中に掛けられる大声に睨みを返す。
少年はまたあの笑顔で、またな、と叫んだ。


オレンジ の誘惑
(ティキがスキ。なのに、ねぇ、オレンジが頭から離れないの)
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今となっては有り得ない、ノアヒロイン(+ノアティキ)とラビの出会い。
好きになってからノアだって知って複雑に思いながらも好きだといい(長)

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