「でも、銀ちゃんと約束したから・・」


やっぱり、銀ちゃんのあの声、何かあったのかも知れない。
は渋る土方さんと総悟くんを言いくるめると、足早に万事屋へ向かった。


「こんにちはー」


物騒にも鍵の開いた万事屋の玄関を開けると、新八くんと神楽ちゃんの靴がなかった。
銀ちゃんはまだ寝ているのだろうか、テレビの音は聞こえない。
静寂が包むリビングをそろりと抜け、銀ちゃんの寝室へ向かう。


「銀ちゃん?」


布団に横たわる銀ちゃんは苦しげに目を閉じている。
は銀ちゃんの額に置かれたタオルを取り、体温を計るように手を置いた。


「熱い・・」


自分の額と比べてかなり熱い。
は避けたタオルを絞り、また銀ちゃんの額に乗せる。
銀ちゃんは相変わらず苦しげに、ううん、と唸った。


「なんで、を呼んだのかな・・?」


そりゃ妙ちゃんより料理はマシだし、さっちゃんみたいに騒いだりしないけど。
それだけで呼ばれたんだと思いたくないのが、乙女心。


「ね、銀ちゃん・・、今年も此処にいていい?」


そう問うような独り言を投げかけると、銀ちゃんの額に置いたままだった手を突然強く掴まれた。
驚くを余所に、銀ちゃんは顔を赤らめたままの手を引いた。


・・」

「ぎ、銀ちゃん、ごめんね、起きた!?」


さっきの台詞を聞かれたかと焦るに、銀ちゃんは掠れた声でまた名前を呼ぶ。
名前を呼ばれただけで熱くなるのは、銀ちゃんだから?
いつもと違う銀ちゃんの真剣な眼差しに吸い込まれそうになりながら、は手を握り返した。


「此処にいろよ。ずーっと、な・・」


そう言って近づく銀ちゃんの顔に、熱くなる頬を隠す術もなくは瞳を閉じた。



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