記念すべき日は君と
はやくはやく、君に会いたい。
さくさく。
さくさくさく。
「さむ・・・」
出来るだけ小さく身を縮めるようにして歩く。
まさかこんなにタイミング良く降るなんて思ってもいなかった、と内心溜め息を吐くんだけど、これから向かう場所を思い描いたらそれも楽しく思えた。
去年は皆でパーティーだったのに、今年は二人で、なんて柄にもないことを言うもんだから少し期待してしまう。
恋人でもない相手から、しかも片思いの相手から言われる言葉なんだから、当たり前だよね。
自然と緩む頬を必死で隠して、足早に道を歩く。
キラキラと光る白い花びらが舞って、まるで彼の色だ、なんて乙女みたいなことを思った。
「うォォ!ちょ、やべェェェ!!」
「え?」
景色に気をとられていたが耳に捕らえた声が、今現在思い浮かべていた想い人のものだと気付くのに時間はかからなかった。
ふと正面を見ると、ちょうど此方の姿を捉えたらしい彼は焦っていた表情を緩めた。
「って!」
「銀ちゃん!どうし」
て、と言い終わる前に通り過ぎていく彼とその愛車(スクーター)。
はその背中を視線で追いかけるものの、あまりの驚きに固まってしまった。
銀ちゃんは此方を振り向いたまま前に突き進んでいく。
「あ、銀ちゃ・・!」
「〜〜〜!」
今生の別れかと言うくらいの悲痛な叫びの後、銀ちゃんは正面のお店に突っ込んでいった。
あぁ、もう前見て走らないから・・。
お店の前まで走り寄ると、いろんな音の後で銀ちゃんがボロボロになって出てきた。
「悪ィ、。遅くなった」
「・・・いろいろツッコミたいことはあるけど、まずはケガしてない?」
やけに顔だけキリッと整えての肩に手を置く銀ちゃん。
でもどんなにかっこよくても、いろんなとこから血出てるからね。
「銀ちゃん、痛くないの?大丈夫?」
「に会ったら治った」
「そんな訳ないでしょ・・」
苦笑してハンカチを渡すと、銀ちゃんはお礼を言いつつ受け取って歩き出した。
結構血出てるんだけど平気そうな辺り流石と言うか何と言うか。
スクーターいいの、と聞くといいんだよとだけ返ってきた。
「で、銀ちゃんどうしてこんなとこに?、銀ちゃん家行くって行ったよね?」
と言うか銀ちゃんが家に来いって言ったよね。
だからはこんな忙しない町の中を歩いている訳で。
「が心配で迎えに来た」
「心配って・・まだ昼間だよ?」
そろそろお昼時。
人通りも多い歌舞伎町は、真選組のお陰か今日も平和だ。
疑問符を浮かべるに銀ちゃんは少しだけ前を歩くと言った。
「あ〜〜〜〜。いや・・早くに会いたかったんだよ」
「!」
「けーるぞ、オラ」
全然振り向いてはくれないけど、後ろに手を差し出してくれる。
戸惑いなくその手を握ると、銀ちゃんは少し早足でを引っ張った。
冬の上に雪まで降ってるのに熱い銀ちゃんの手に、の体温も上がっていく気がした。
あとがき
あけましておめでとう夢。年末設定。
ハタから見たら両思い、知らぬは本人ばかりなり、ってことで。
銀さんは年明けと共に告白しちゃおうかなんて思ったりしていたら良い(私が)。
そんなヨコシマな頼を2008年もよろしくお願いします!