自覚症状

いつだって考えてた。特別な日なら、尚更。


「オイオイ、どういうことなのホントに」


そう言ったって、静まり返った部屋からは返事が返ってくる訳もない。
ちょ、今日に限って酷くない?俺今日一応誕生日なんですケド。
着替える気力も失せて、パジャマのままソファに腰を下ろす。


「まァ、いいけどな。別に子供じゃあるまいし」


そうだよな、いくつだよ俺。祝う歳じゃないよな。
独り言を呟いてぼんやりと部屋を見渡す。

確か昨日は、神楽が新八ん家に泊まりに行ったんだっけか。
新八は今日は休み貰いますとか言ってたな。そりゃ誰もいねーわ。
今日に限ってババアたちも静かだし、落ち着かねーっつの。
て言うか、何してんだろーなァ。今日はこねーのかな。
銀さんの誕生日ですよ〜。


「って、可笑しいだろ俺」


頬をひきつらせて思考を巡らせる。
真っ先に浮かぶ、ある女の顔。
あいつはただの団子屋の娘で、何回か家に来たり、呑んだりしたことはあるが、勿論一緒に住んでる訳でもなくって。
が来ることなんて珍しいくらいだ。来ようが来まいが、たいした問題じゃないはずだ。


「ナイナイナイ、それはナイな」


そう、ただの友達だろ?
そりゃ可愛いなとか思ってるけど、良い娘だとも思うけど。
ちょっと付き合いてーなとか結婚してーなとか思ったりしたこともないわけでもないけど。


「って、オイオイオイ・・!」


頬が紅潮していくのを感じる。 暴走し出した考えによってそれを自覚するのは容易かった。
俺、あいつのことそんな風に見てたのかよ。しかも無意識に。
変態か、と呟いた瞬間玄関のインターホンが鳴る。 咄嗟に、だったら良いのに、と思ってしまった。
何で俺、急にこんなに欲してんの? あーヤベ、どうしよ。本当にだったら抑えらんねーかも。
扉の向こうに見えるシルエットに思考の大部分を占める人物を感じて胸が跳ねた。
この気持ちをは受け止めてくれるだろうか、俺は祈るような気持ちで玄関に向かった。

あとがき

乙女な銀さんでした。
なんか、不十分。不完全燃焼ですね。
やっぱり絡ませたい、と思ってしまう破廉恥頼なのでした。