「ねぇ」

「……」

「ねぇってば」

「うるせェ」

「あら、冷たい」



春眠不覚暁 - 土方十四郎ver -



「黙って寝ろ。何時だと思ってんだ」


咎めるような口調のトシの傍らで、は唇を尖らせた。


は眠くないわ」

「俺は眠い」

「トシは昼寝しないからよ」

「普通しねェよ仕事中に」


眠いくせに的確にツッコむトシに少し感心しつつ、もぞもぞと布団の中から暖かい背中にくっつく。

見た目にはわかりにくいけれど、触れると適度な筋肉がついてるのがわかる。
やっぱり男性なんだと再確認させられる広い背中。
だけが知る逞しい背中をなぞって、首筋に軽くキスを送ってみる。


「・・・


振り向きもせずにの行為を咎めるトシの声は少し低くなってて。


「だって、暇」

「いや、寝ろよ」


いつものツッコミも少し甘く聞こえるのは気のせい?
トシは相変わらず背中を向けたまま。


「眠くないんだってば」

「俺は眠いつってんだろ」


突き放すような台詞とは裏腹に、触れている背中が熱い。
月明かりに照らされた、トシの真っ赤な耳。
愛しさが込み上げる。

これだからこの人からは離れられないんだ。


「うん、わざとよ?」

「!」


あっさりと言い除ければ、トシはやっと赤い顔をこちらに向けた。
ああ、やっぱり可愛い。


「おま・・」

「発情した?」


からかうようにくすりと笑うと、トシはむっとした表情を見せての身体の上にのしかかってきた。

視線が絡む前に唇に熱が伝わる。
執拗に絡み付くトシの熱が、を夢中にして離さない。


「責任、とれよ?」


低く、甘い声が背筋からを撫でて。


そして、落ち行く。
アナタと共に、夢の淵へと。

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