好き嫌いの物差しは人によって違う。 全てを鵜呑みにするほど、は馬鹿じゃないつもりだ。 「あああああのっ・・!その、だな!」 「どうしたの、幸村・・服と顔の境目がないわよ」 まぁそれは言いすぎだけど。 顔をこれでもかというくらい真っ赤に染めて、幸村はの隣に正座している。 廊下を走って向かってきた時はどうしようかと思ったが、一応の安全を考えてくれたようで隣に滑り込んできた。 ・・普通に止まれないのかな、君は。 「そそそ某は!その、っが!」 「・・幸村、もうちょいボリューム落とそうね」 キンキンする耳を押さえて言うと、ぼりゅーむ?と首を傾げた幸村が目に入る。 声の大きさね、と訂正して苦笑した。 しまった、この世界の人にはカタカナ言葉は禁句だった。 幸村にはが異世界の人間だって言ってあるからいいけど他の人の前で言わないように気をつけなくちゃなー、なんてぼんやり考えていると、幸村がやはり真っ赤な顔のままこっちを覗き込んできた。 「ど、どうかしたで御座るか?」 「んーん、大丈夫。で、何?」 先を促すに、幸村はまた目を泳がせてしどろもどろになりながら、しかしが注意した通りに声を抑えて言った。 「そのっ、某はを・・!」 「うん?」 「おおおお慕いしているで御座る!」 「・・うん、もだよ」 慕う、というのは確か『好き』という意味だったかな、と思い出して笑顔を返した。 どうせ幸村の『好き』だ。佐助と同じくらい好き、とかいうことだろう。(きっと一番はお館様なんだろうなー。ちょっと羨ましいかも) それにしてもこれだけのことにこんなに赤くなるなんて、流石破廉恥破廉恥言ってるだけあるなぁ。 そう思ってまじまじと見つめていたら、幸村が目を見開いて固まっていた。 「そっ・・それは真か!」 「?うん」 「佐助ぇぇぇ!某はやったで御座るっ!」 「はいはいっと。よかったねぇ旦那ー(マジかよ、俺も狙ってたのになー)」 何だか妙に喜ぶ二人(いや幸村だけかな)を見たは、先ほどの幸村のように固まっていた。 まさかね、と幸村を見て乾いた笑いを浮かべたを見た佐助が、何故かにやりと笑った。 |
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