拝啓、父上母上。
困ったことになりました。


「何呆けてやがる、Honey?」


腕の中で固まるに気付いたのだろう、政宗様は更に距離を詰めて顔を覗き込んできた。
にとっては、更に困った事態になるとも知らずに。


「いっいいえ!何でも御座いません!」


頼むからこれ以上顔を近づけないで、と叫びそうになるのを堪えては声を上げた。
政宗様は整った顔をしているし、だって美しい方を見るのは好きだ。
だけど、残念なことにそういった人に免疫がない。
つまり、遠くで見てるだけで十分満たされている程度のものだったのだ。
突然この距離は、実に心臓に悪い。


「顔、真っ赤だぜ?」

「いえっ大丈夫です!」

「Ha・・説得力ねぇな」


そう言った政宗様の右手がの頬に移動した。
左手はの背中に添えられている。
尚更熱が上がるのを感じたが、は大人しくされるがままになっていた。
少し低い体温が妙に心地良い。
視線が合わさったまま何も言わない政宗様に、は思い切って声をかけた。


「あの、政宗様・・?」


それだけ言って、あまりの熱っぽい視線に耐え切れず俯く。
しかし顎をくいと上げられ、また視線が絡んだ。


「ま、」

「俺のHoneyは、お前だけだ・・」


真っ直ぐな左目に見据えられて、は二の句が告げなくなる。
もうずっと前から、この目に囚われていた。
それは自分自身、気付いていたこと。


「はい、政宗様・・」


(・・ですが、Honeyとは何のことでしょう?)

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