笑って返してくれるものと思っていた。
彼には深い意味など必要ないと、まるでペットや子供に言うようなものだと思っていた。
だから、何の躊躇いもなく好きだと伝えた。
の腕を掴んで、いつになく真剣な顔をしている幸村に。


「それは、どういう意味でござるか?」


切ない眼差しを受けて戸惑うに、幸村は苦しそうに言葉を吐く。


「簡単に、言わないでくだされ・・」

「幸村・・?」


初めて見る幸村の悲しげな表情に、名前を呼ぶことしか出来ない。
何か言わなければ、そう思ったがの唇が音を発する前に幸村が唇を開く。
いつもの彼からは想像出来ないくらい小さな声が、の耳元で響いた。

はつごころ
(掴まれた腕が、熱い)

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