ぽり、と頭を掻く仕草は彼の癖。 困った時にするって、知ってる。 だって、何年一緒にいると思ってるんですか。 「どうしてですか」 「どうしてもです」 終わらない問答を繰り返す達を覆うのは、大きな雲と泣きそうな空。 瀞霊廷からは少し離れたこの丘は、空も街も全てが見渡せる。 「答えになっていません!」 声を荒げて首を振れば、彼は悲しそうにを見た。 その瞳に、は映っているんですか? はこんなに、貴方を想っているのに。 「すみません」 「隊長は、ずるいです・・」 に選択肢なんて与える気はないんだ。 彼は行く。は残る。全て決まっていたこと。 「忘れないなんて言いませんから」 「はい」 「、嫌いになりますからッ」 「・・そう思われても仕方ないッスね」 そうですね、泣きそうな声では呟いた。 届いているのかいないのか、彼は長く息を吐いた。 まるで合図のよう。 「隊ちょ・・ッ」 「はい」 ああ、笑わなければ。強がりを見せなければ。 これできっと、もう二度と。 「・・・いって、らっしゃい」 「・・はい、いってきます」 ふわり、最後の熱。 冷ますように、冷たいモノが一筋伝った。 |
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