此処にいろ、とばかりに体に巻きつくその腕。 それは彼と言う名の足枷であり、の存在意義だった。 「お前が、悪ィ」 その言葉は、真っ直ぐこちらに放たれた。 悪びれるふうでもなく、ただ事実を語っているような口ぶり。 どうしてそう思うの、は独りごちるように呟いた。 否定とも肯定とも取れないの台詞は、空に消えるだけで返ってはこない。 その代わりに返された熱は、イラナイ、と押し返すをものともせずに奥へ入り込んでくる。 苦しい、と彼の逞しい胸を押すけれど、やはりびくともしない。 「ッし、ん・・!」 その唇は、呼吸さえ奪うような、むしろ許さないかのような激しさを持っていた。 必死で暴れるに、彼は漸く数mmの隙間を作って喉を鳴らした。 クク、いつもの笑いが聞こえる。 「殺したい」 眼の前の彼は、ぽつりと呟いた。 その目は狂喜に満ちていて、けれどは怯えること等なかった。 貴方が望むなら、言葉を紡いでくすりと笑えばまた呼吸は奪われた。 |
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