髪に触れてくる彼の手に、は身を硬くした。 闇に紛れて見えないけれど、彼はいつものように口端を上げて此方を見ているのだろう。 の髪を掬い上げて流しては、楽しんでいるようだ。 「あかんで?」 見えない彼の表情は、の不安を煽る。 す、と頬に滑らせてきた手の体温の低さに驚いたは、小さく身を震わせる。 「ッ!お願い、です、隊長・・」 消え入るような声でそう言って、悲しげに彼を見上げる。 聞いてもらえないことはわかっているのに、それでも請わずにはいられなかった。 には、彼しかいないのだから。 「嫌なん?」 「んんッ」 そう問うても答えを聞く気などさらさら無い彼は、の唇をしっかりと塞いだ。 きつく抱きしめられ、は抗うことも出来ないまま彼に身を委ねる。 「・・は、ッ」 「、愛してんで?」 薄く開いた彼の瞳はをしっかりと映しているのに、は怖くてたまらなかった。 日番谷隊長に言われた台詞が、脳内を駆け巡っては消える。ぽつり、呟いたのは、口に出してはいけない疑問。 「どうして、ですか・・・」 知らないフリは、限界だった。 |
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