その笑顔を知ってる。いや、知ってた。 いつも見ていた、君のその笑顔を。 なのに、何故。何故君は、いつもと違うの。 いつものじゃないの。 「アレン?」 真っ直ぐこちらに伸ばされたその手を取りたいのに、僕の左目はそれを許さない。 こちらを見る彼女と視線を合わせれば、柔らかい、いつもの笑み。 そう、これは、だけど、じゃない。 どんなに上手く隠しても駄目なんだ。 わかるよ、呪わしいこの左目のせいで。 そっと左目に手を伏せて、彼女に近付く。 もう少し、あと少し。 確かめるように足を運んで、僕は彼女に笑いかけた。 「、愛してます」 言えなかった言葉だけど。 あと1歩で、お別れだから。 |
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